アニメの目

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2010秋期
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ヨスガノソラ 第10話 「トリノソラネハ」

穹と悠の共有空間かつ私的空間である家の中で繰り広げられる、エロスの攻防戦。正直たまりません。

新しい切り口から入ってみようと思います(とは言っても、『ヨスガノソラ』ではしていなかったというだけで、他のアニメではよくやる手なんですが)。っていうのも、前回(奈緒編最終話)の次回予告を見たときに、全く嫌な予感しかしていなかったから。

「今までのことは全部夢。ハルの迷いが見せた夢。だから、奈緒とのことも泡沫と消える。私のことだけ見ててハル。幸せにしてあげる」

何より恐ろしいのは、最後のひと言。「幸せにしてあげる」です。前回の感想で「キャラクター総幸福量」みたいな話をしたんだけど[9話感想]、この穹の宣言した「幸せ」っていうのは、ハルだけの幸せのことを指しているとしか思えないんですよね。

ついに穹が本気を出すのかと思うと、もう嫌な予感しかしない(これは、もちろんいい意味で)。

ということで、穹が本格始動。春日野家は毎日毎時毎分が修羅場と化します。が、ここはあえて穹からでなく、悠の視点からものを見ていくことにします。受け身の立場の人間のほうが、その行動は意外と理屈が通っているもので、今回パッシブだったのは間違いなく悠のほうですから。

そう、悠が受けに回った。悠と穹には交換可能性があって、ずっと「入れ替わりうる」ような平行線を二人で歩き続けてきたのだろう[8話感想【蛇足】]ということの例が、ここでまたひとつ。

今回の穹の攻勢は今までにないくらいで、玄関先でタオル巻いて寝ているのなんて、もう悠はタジタジ。リビングなんかがほとんど描かれずに、穹の部屋や悠の部屋ばかりが物語の場となっていたのも面白い。私室という両者の絶対領域と、その間の「緩衝地」たる廊下(玄関含む)で行われるやりとりが、たまらなく性的。リビングなんていうものは、「家族」の象徴。すなわち、悠が兄で、穹が妹であることを要求する場所だから、穹編ではなかなか出番がなさそうです。

さっきから修羅場だの緩衝地だの、どうして物騒な言葉ばかり選んで使っているのかというと、春日野家という場で、まさに穹と悠の戦争が起こっているようなものだからです。穹も悠も、必死なんです。

穹は攻勢に出たとは言っても、やっぱり悠が奈緒とデートに出てしまうと寂しい。寂しいを通り越して、怖い。シリーズを通して穹の芯にこびりついている感情は、喪失への恐怖です。だから、泣く。それから、悠を内に閉じ込めておくためなら、なんだってする。

で、逆に悠は何に必死になっているのかというと、これがすごく面白い。今回の感想のメインです。

今まで、悠は「自分のしたいことをしたいようにしている」ような、浮ついた人間だという評価をしていました。もちろん、優しい人間でもあるから、「したいこと」が功を奏する場合もあるのだけど、奈緒編における悠の働きぶりは目も当てられないほどお粗末でした。

でも、そうじゃなかったらしい。彼だって必死なのです。何に必死かというと、穹という実の妹から逃れようと必死。

思えば穹の「いかせて」発言から制服の採寸というイベントは、全ての分岐ストーリーの基礎にあたる1話で発生していました。その一番根っこのところで、悠が穹のことを、というか、穹の体のことを意識してしまったのなら、全ての分岐ストーリーがひっくり返る。

悠が理性の働かないエロ魔として振る舞っていたのが、全て「妹の体」という禁忌から逃れるための、ある意味では理性的な行動だったことになりかねません。あ、いや、それは言いすぎ。でも、ずいぶん印象は変わってきますよね。一葉や瑛のために頻繁に家の外に出ていたのも、奈緒を家に連れ込んだのも、全部「関係していい体を持っている女子」を求めてのことだったかもしれないという程度のことは確か。

それに、すっかり忘れてしまっていたんだけど、棚から落ちてきたビン(かな?)をキャッチしてそのままキスに直行ということを、彼と彼女は幼い頃にやってのけているのです。悠はそのころから穹に捕らえられていて、未だに逃れられていない。それが「妹」なるものなのか。

悠はなんとかして「穹離れ」をしなきゃいけないと、理性的には思っている。でも、できない。他の分岐ストーリーではうまいこといったんだけど、どうもこの穹編では、穹の魅力から逃れきれないでいるようです。

対して穹はというと、こっちは「悠離れ」なんてする気がさらさらない。悠がいなきゃダメだと思っていて、実際にそう。喪失への恐怖心は、ここでも効いている。

この意味で、悠と穹の関係は、どちらが上位だとか、どちらが従属だとか、そんな関係ではないです。お互いがお互いの中毒者。それなしでは生きていられないようなもの。いつでも立場が逆転しうるような双子の兄妹ですからね。

家に帰ると実に受け身的で、穹の存在に惑わされ続けている悠が、そんな悠が家の外では穹の上位者として振る舞う。「兄」であることを自分に言い聞かせるように、「いい兄」を演じるのです。これにも、悠の「なんとかして穹から逃れたい」という気持ちがよく表れています。

「あいつもいつかは僕から離れていく」「だって兄妹だから」ということを、なんとかして納得しようと必死です。必死のはずなのに、奈緒とデートに行けば穹のヘアピンは買うわ、穹のためにコロッケ買うわで、もう、全然逃れられていない。

奈緒編ではうまく奈緒に「色ボケ」できた悠も、今度はうまくいかない。カレーを作りに来たという同じイベントで、穹は私室で寝ているという同じシチュエーションのはずなのに、今度は奈緒を家に上がらせない。春日野家は、今まさに悠と穹の激しい戦いのさなかにあるのだけど、そこに部外者は入れられない。だって、少なくとも悠か、穹か、その両方かの領域なのだから。

そんな感じで、「穹からなんとしてでも離れなくちゃ」と思っている悠は、それができずに未だに迷走中。そんな迷子の兄に向けた、妹からの次回予告は、

「どこ行くの、ハル? そっちじゃないよ。私が教えてあげる。私が連れてってあげる。だからハル、ずっと私の中にいて」

です。いやあ、素晴らしい。

それから、上位者「兄」として「妹」である穹をずっと自分の「中」にしまっておきたかったはずの悠が、ここでは穹に「中」(「側」とは全然違う)にいてと願われています。ここでも逆転。というか、お互いがお互いの「中」の奥底に根付いてしまって、剥がしようがなくて、どうすることもできないということなんでしょうね。

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